米国・医療機器メーカーHeart Sync, Inc.が、主力事業の医療用電極分野をNISSHA株式会社へ資産譲渡
米国・医療機器メーカーHeart Sync, Inc.が、主力事業の医療用電極分野をNISSHA株式会社へ資産譲渡
2018.5.21
米国・医療機器メーカーHeart Sync, Inc. は、同社の主力製品である除細動電極の開製販を担う事業を、NISSHA株式会社メディカルテクノロジー事業部に譲渡したことが明らかになった。本事業譲渡は、2016年9月に、NISSHA株式会社へ株式譲渡により子会社化されたGraphic Controlsグループ(米国・医療機器メーカー)を介して実施され、米国拠点におけるシナジー効果に大きな期待が寄せられる。
Heart Sync, Inc. は、心肺蘇生や心臓ペーシングなどで用いられる医療用除細動電極※1の設計・開発のパイオニアであり、不整脈分野の技術において高い実績を誇る。また、医療現場のニーズに呼応する製品開発や製品設計で定評がある。
NISSHA株式会社は、高度な印刷技術による加飾フィルムなどの、産業用資材を得意とする大手印刷会社。その一方で、高度な加工技術を応用し、タッチセンサー分野でグローバル化に成功。世界トップレベルのシェアを誇る。主軸の産業資材事業、ディバイス事業、および情報テクノロジー事業に加えて、新たにメディカルテクノロジー事業をスタート。これにより、高い成長が見込まれる医療分野への参入を実現した。これら4つの事業を成長戦略の柱とし、今後はグローバルに事業の多角化を図っていく方針。
現在、メディカルテクノロジー事業部は、心疾患用途の医療用電極を主力製品として事業を展開。医療用メーカー向けにOEM生産形態を、および病院向けには自社ブランドによる販売形態を持つ。今回の事業譲渡を受けて、除細動電極の高度な技術の獲得、それに付随する製品ラインアップの拡充、およびグローバルな販売チャンネルの拡大を図っていく。
※1:除細動電極とは、心拍の不整脈時に電気的な刺激を与えることで、除細動を行う医療機器に用いられる伝導体。
担当からのコメント
今後、社会の高齢化は一層加速していきます。それに伴い、医療・介護・ヘルスケア市場の成長は著しく拡大するでしょう。多くの企業が同分野への新規参入を試みています。新規プレイヤーにおいては、高い技術の獲得による他社との差別化が求められます。
また、医療・介護・ヘルスケアの従事者においては、過酷な労働環境が問題視されています。そのことから、技術革新による医療・介護の自動化や簡素化が課題となっています。
こういった背景に鑑みると、今後も同分野における新規技術の獲得を目的としたM&Aが多く実施されるでしょう。