ゼネコンの松村組が総合電機メーカーのパナソニックへ株式譲渡
ゼネコンの松村組が総合電機メーカーのパナソニックへ全株式を譲渡
2017年11月1日
株式会社松村組が、パナソニックに対し発行済全株式を譲渡し子会社になることが11月1日明らかになった。
パナソニックは、10月には傘下のパナホームも完全子会社化しており、これに続いて中高層マンションの建設等に実績のある中堅ゼネコンの株式会社松村組を取得した事となる。年末までに、発行済み株式の過半数を、2018年前半には、全株式を取得し、取得金額は100億円弱とみられる。
株式会社松村組は、商業施設や中高層マンションに実績が多く、既に子会社化しているパナホームは戸建住宅、低層集合住宅等に実績が多い為、これらを取得する事で住宅市場に対して幅の広い供給能力を得る事となる。
昨今の家電製品の低価格化、海外製品による国内市場の圧迫などに対して、パナソニックは自動車部材や住宅販売の強化を目指しており、低層階マンションの建設に関してはパナホームが業界トップシェアを持っていた。一方、松村組は関西国際空港旅客ターミナル、国立新美術館などの商業施設や、10階建て以上の住宅用高層ビルの建設に実績を持っている。
パナソニックは、住宅の販売を通じて家電や給湯設備などの住宅設備関連機器の販売を行う事で売上の相乗効果を狙っており、これまで戸建中心であった戦略を集合住宅に向けても拡充したい狙いがある。
松村組は、1984年の創業で商業施設、集合住宅の建設の他、リニューアル事業にも力を入れており、2017年3月期の売上高は352億円、従業員は382人であった。
コメント
家電の製造販売のイメージが強いパナソニックによるゼネコンのM&Aは意外な様に感じますが、住宅の新築は家電の新規購入と密接に関連しているため、非常に親和性の高い市場であることが判ります。国内の家電メーカーは1990年代ごろから白物家電の海外への生産移転、情報関連機器の水平統合モデルとの競合など、グローバル市場への対抗策として経営モデルの変革を続けており、関連企業とのM&Aによる経営強化を続けてきました。今回のM&Aは、垂直統合を得意とする日本企業の経営モデルをさらに進化させる働きが有り、家電製品の需要の掘り起こし策として持続的な効果を期待できるものでは無いでしょうか。