救済型(企業再生型)M&Aについて
中小企業で企業再生方式が用いられない理由
まず、事業再生を目指す会社と取引をしてくれる会社がどうしても少ないため、取引の規模が小さい中小企業は取引停止となってしまう恐れがあります。(売上高3億円程度以上が望ましいと当社では考えております。詳しくはご相談ください。)
次に、債務免除を受けると債務免除益に対する税金負担が発生するのですが、それを回避するためには繰越欠損金などが必要となり、資本規模の小さい中小企業は債務免除益に見合う繰越欠損金がない場合が多いため、この方式を用いてもほとんどメリットがないと考えられるからです。また、再生を推進していく期間中に資金繰りの関係で事業継続ができるか、また再生に係る経費の捻出可否も大きく影響してきます。
また、他の会社へ事業を移すためには契約関係を全て承継する手続きが必要ですが、取引規模の大きな大企業はその手続きが複雑で困難なため、法人格を維持したままの企業再生方式が適しています。
中小企業で用いられることの多い救済型M&Aの手法
事業譲渡方式
事業を別の法人格に移して優良事業部門を中心に事業実態の維持・再建を図る方法です。残った会社は清算しますが、これまでやってきた事業はスポンサー企業の一部門として再建することができます。
この方式は中小企業の事業再生でよく用いられています。この方法は法的なリスクがあるため、弁護士などとの事前の用意周到な法務面のチェックが必要です。詳しくはご相談ください。
会社分割方式
会社の優良事業部門を切り離して別の会社へ移し、赤字部門が残った会社は債権者の協力を得ながら再生を図る方法です。事業が毀損する前に切り離すことで、優良事業部門の早期再建が見込めます。この方法は事業譲渡同様に法的なリスクがあるため、弁護士などとの事前の用意周到な法務面のチェックが必要です。詳しくはご相談ください。
第二会社方式
収益性のある事業部門を事業譲渡や会社分割によって別会社(第二会社)へ移し、事業の維持・再建を図る方法です。
中小企業がこの方式で事業再生を図る場合、中小企業承継事業再生計画を作成して経済産業省から認定を受けると、金融支援や税金の優遇といった支援策が受けられます。