攻めのM&Aとは〜生徒の安定確保のためにM&Aを決断した進学塾運営会社〜
攻めのM&Aとは〜生徒の安定確保のためにM&Aを決断した進学塾運営会社〜
特集企画 中小企業向け「攻めのM&A」の流儀 進学塾のケース(第1回)
●業界特有の経営課題にM&Aの実施で対応した事例:進学塾のケース(第1回/全4回)〜生徒数の安定確保に向けて、実力派プリスクールを買収〜
○規模を拡大することで、メリットを得たい
○新規事業へ進出し、別の柱を構築したい○優秀な人材を獲得したい
このような悩みを抱えている中小企業のオーナー社長もいらっしゃるのではないでしょうか?
企業は、絶えず成長拡大・安定経営を求められますが、中小企業の場合、例えば新規事業に進出したくても、その事業に割ける余剰人材がいない等、なかなか実現できないことも多いかと思います。
「新規事業進出」、「規模の拡大」、「優秀人材の獲得」、「ノウハウの取得」、「急成長をしたい」などとお考えの方は会社・事業のM&Aが効果的です。ゼロの状態から事業を立ち上げた場合にかかるノウハウ習得や人材教育などにかかる時間コスト、金銭的コストなどを大幅に軽減できるだけでなく、事前に収益状況を把握した状態で買収するので、失敗リスクを軽減することも可能です。
M&Aにより隣接業種に参入し、取得した新規事業を成長させただけでなく、既存の自社事業とのシナジー効果を大いに生み出した実例として、ご参考にして頂ければと思います。
図1.M&Aの概要
買い手の進学塾運営会社が抱える生徒の安定確保の問題
A社は、都内にある小学生向けの進学塾運営会社です。顧客ターゲットは富裕層に絞っています。月謝は他社に比べ高額に設定していますが、有名難関中学への高い合格率を維持しているため、遠方の富裕層の親も子供を通わせる、魅力ある進学塾です。ところが、学習塾は業界特性として、毎年6年生の生徒が卒業してしまうため、安定経営のために新たな生徒を絶えず獲得し続けなければなりませんが、最近特に進んでいる少子化の影響で、生徒確保が年々厳しくなっている現状があります。
数ある進学塾の中でも特長のあるA社といえども同じ悩みを抱えており、自社の抱える有名講師に本を出版させる等、広告費が年々増加。大手学習塾の経営統合が行われ、学習塾業界の再編が進む中、年々生徒一人獲得するのにかかるコストが割高になっていくのと同時に、生徒数自体も減っていく傾向にありました。
A社長は、このまま生徒確保が難しくなってくれば、A社の進学塾の、富裕層という非常にパイの少ないターゲットに絞ったビジネスモデルそのものを再構築しなければならないかもしれないと、非常に危機感を持っていました。
(第1回/全4回)