英会話スクール4/7:事例1:事業部売却!M&Aによる企業再生の道
●本業の柱であった事業部門を売却しこれから伸びる事業部門の経営資源にあてた事例:英会話スクールのケース(第4回/全7回)
〜マンション投資事業に注力するため、本業の英会話スクールを売却〜
M&Aにおいて問題になったこと
ところが、譲渡の条件のすり合わせ等をするためにトップ面談を重ねていき、様々な条件も決まっていよいよ基本合意の契約書作成に入ろうかという段階で、売り手A社長が思わぬことをB社長に伝えます。過去3期の売上・利益は好調ですが、直近の売上はかなり落ち込むというのです。確かに、提出頂いていた試算表では売上は減少傾向にあり、その点は弊社もB社長も把握していましたが、A社長の話では、更にダウンする状況だというのです。
A社長いわく、A社の英会話スクールは、都内に立地しており、始めた当時は周りに英会話を教えるスクールはありませんでした。ところが、時代の変化とともに英語教育が浸透することで英会話スクールが乱立。競合が増えたばかりか、駅至近に英会話スクール大手が相次いで出店。生徒数を維持するのが厳しくなってきたことが原因とのことです。また、子供向けのプリスクールの出店も増えてきたため、教育レベルの高いネイティブの講師を確保する事もとても難しくなってきました。実際、講師の中には他社への転職の為、辞めていく者も出ています。今後売上を従来の水準に戻すには、子供向け英会話を充実させる他、採用や生徒募集にも広告費をしっかりかけていかなければならない状況だというのです。
売り手からすれば、懸念材料等、自分の会社の悪い情報をなかなか明らかにしたくないお気持ちはよくわかります。しかし、M&Aが進むにつれて顕在化した場合、そのタイミングによっては、M&Aの話そのものが大きく左右されてしまいます。中小企業のM&Aは、人と人との信頼関係の構築が何より重要だからです。譲渡のご相談を頂いた際に、A社長が直近の数字の悪化についてもある程度弊社にお話し下さっていれば、弊社から売り手A社長へのアドバイス、買い手に対するコンサルティングやM&Aの進め方も変わってきます。
この懸念事項を、基本合意直前というタイミングでわかったことにより、普段速いスピードでM&Aを進めていく買い手B社長も、一気にトーンダウンしました。次のトップ面談の日程を決めようとしても、B社長から都合の良いスケジュールを一向にもらえません。順調に進んでいたM&Aは一気にブレーキがかかりました。
(第4回終/全7回)
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