訪問介護・居宅介護事業会社2/7:事例3:「こうして私は会社を売却しました。」中小企業のM&A実例
「戦略上の理由から会社を譲渡」
譲受候補先C社・D社のご紹介
訪問介護事業は比較的M&Aニーズが高い業種なので、弊社にご登録頂いている買収希望登録会社は多数ありました。
その中でも特に熱心であったのが首都圏で整骨院を12店舗経営しているC社長でした。C社長は毎日、時には一日に何度も弊社に電話をしてくるくらい熱心に買収を希望され、その強い熱意により早期に両社のトップ面談が実現しました。トップ面談は和やかな雰囲気の中行われ、両社が手を組むことでC社の訪問マッサージ事業とA社の訪問介護事業との相乗効果が見込めることが確認できました。
その後、日を改めて具体的なM&Aの手続きについて打ち合わせを行った際、これまで早期譲渡を希望していた筈のA社長が突然、譲渡時期を半年ほどずらしたいと言い出しました。整骨院との相乗効果を狙っていたC社長にとって、ここまで交渉を積み上げてきて成約間近と思ったところで、半年という期間はとても長い時間です。譲渡までの半年間を業務提携する形で対応する折衷案を提案したものの結果として破談となりました。
交渉の終盤でいきなり譲渡時期が大幅に遅れたことで、トップ面談で築き上げたC社長のA社長への信頼感が結果的に薄れてしまったことも原因のようでした。
M&Aでは短期間で両社の信頼関係を築くことが求められ、交渉途中における大幅な条件変更は破談になってしまうリスクが高くなります。このケースでは、最初から譲渡時期の変更可能性にについて説明しておけば、信頼関係を壊すこともなく成約に至った可能性は十分にあります。
次の譲渡候補先としてD社をご紹介しました。D社は同業の訪問介護事業を関西エリアで行っていましたが、東京進出を希望していました。買収検討段階で財務数値についての質問の回答に時間がかかり、収支状況を把握するのに難航したものの、それでも基本合意書締結まで話が進みましたが、D社の資金提供者が合意直前に譲受を中止した為、破談となってしまいました。アンラッキーな事に、またしても成約間近まで交渉が進んだにもかかわらず、成約に至らず交渉ブレイクという結果となりました。
(第2回終/全7回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第1回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第3回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第4回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第5回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第6回)
中小企業のM&A実例/事例3:訪問介護・居宅介護事業会社のケース(第7回)