進学塾6/7:事例2:「こうして私は会社を売却しました。」中小企業のM&A実例
3)筆者による回想録及び分析
(1)M&A成功のポイント
●会社に魅力(特殊性・希少性)が高かった
・難関校に絞り込んだ、プロ講師による他ではやらない授業を行っている。
・譲渡会社社長が講師として残るので、譲受側はそのまま運営できるメリットがある。
A社は、コア事業である進学塾部門に非常に大きな魅力がありました。他社との差別化がしっかりしていて、超難関校への合格率が業界随一であるという実力面や、高い料金設定で広くから顧客を獲得する集客力がありました。また、譲渡会社社長が講師として残留することから、譲受側としてはそのまま運営できるので、他業種から参入できるメリットがありました。
●M&A条件・スピード感
・過去からの財務数値の資料の開示を詳細かつスピード感を持って漏れなくやってくれた。
・スピーディーに成約できる条件に調整してご提案したところ、了承してくださった。
資料を開示するうえでは、(1)詳細かつ(2)スピード感があり(3)漏れがない、という3つのポイントが重要です。秘密主義で資料を出さなかったり、詳細に書かなかったりする人がとても多い中、A社長は3つとも揃っていたので、譲受会社の信頼を短期間で獲得できただけでなく、譲受の判断も早かったと思われます。
また、A社長は早く決めてほしいというご希望だったので、企業価値を保ちつつ、スピーディーに成約できる条件に調整してご提案したところ、弊社を信頼してくださり、了承してくださったことも成功のポイントだと思います。
●社長の説明能力・人間性
・自社の特長やアピールポイントを的確に把握し説明能力が高かった。
・詳細資料も出し惜しみせずきちんと対応した。
・全面的に弊社の担当者を信頼してくれ、アドバイスを聞いてくれた。
社長自ら、譲受希望会社に説明することや、資料の開示に誠実に対応することは、M&A推進の大きな力になります。
また、仲介会社である弊社との信頼関係も成功のポイントになります。一枚岩となって会社をアピールしてこそ、譲渡成功の可能性が高まるからです。
(第6回終/全7回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第1回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第2回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第3回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第4回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第5回)
中小企業のM&A実例/事例2:進学塾のケース(第7回)