ビルメンテナンス3/6:事例2:M&Aの実例
「続・こうして私は会社を売却しました」中小企業のM&Aの実例
●M&Aの実例
【第2回】ビルメンテナンスのケース
多角経営失敗、本業回帰の為に会社分割
〜金融債務圧縮による会社存続に成功〜
A社グループの財務状態とM&Aの模索
ヒアリングと財務資料の精査により、A社長の出口パターンが非常に限定されたものであることが判明します。
【A社グループの財務状態と出口パターンの考察】
1)従業員への承継→このままでは不可
●従業員(社内の後継者候補)に承継したくても、数億円の銀行借入金が多く、名義の付け替えができない為、このままでは承継不可。
●A社長の親族に後継者がいない。
2)廃業・清算→十分回避できる
●子会社のビルメンテナンス事業部を譲渡し、銀行借入の圧縮が出来る可能性がある。ただし事業譲渡は顧客流出や従業員流出、警備業認可の承継問題等、難題が山積。
●老舗で古くからの優良顧客が多く、安定したビジネスモデルである。
3)グループ内法人の株式譲渡→負債が大きすぎて、このままでは不可
●数億円の銀行借入金、グループ全体で約3億円の債務超過のままでは譲受会社は現れないのは必至。
●グループ会社同士の資金の貸し借りが多くあるため、別会社とはいえ資金的にはグループ全体が一体となっており、株式譲渡は困難。
4)M&A→組織内再編を行う過程で負債を圧縮し、本業回帰をする。
●銀行借入金圧縮の原資を得るために、グループ内でgood事業とbAd事業に分け、good事業を切り離して売却を検討する必要がある。bAd事業で再建見込みのない法人は清算する。
●銀行から提示されている期限内に譲渡先を見つけなければならない。
※M&Aでは、年商規模がある程度確保されていることが必要。
銀行への返済期限が迫っていること、多額の負債や債務超過の点から、M&Aによる第三者への譲渡は可能性が低く、M&Aによりグループ内の組織再編を実施し、負債を圧縮することでスポンサーの協力を得るスキームの可能性を模索することにしました。
(第3回終/全6回)
中小企業のM&Aの実例2:ビルメンテナンスのケース(第1回)
中小企業のM&Aの実例2:ビルメンテナンスのケース(第2回)
中小企業のM&Aの実例2:ビルメンテナンスのケース(第4回)
中小企業のM&Aの実例2:ビルメンテナンスのケース(第5回)
中小企業のM&Aの実例2:ビルメンテナンスのケース(第6回)