ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)5/6:事例1:M&Aの実例
複数社の譲受候補先とのトップ面談
M&Aは、時間との戦いになります。
弊社は迅速に登録企業から候補先を選定し、譲受を希望した会社を複数社引き合わせましたが、なかでも、B社が強く譲受を希望しました。B社は公共工事や住宅建設等を手掛ける土木建設会社です。B社長は類似業種およびエリア拡大を希望していました。A社とのトップ面談後、モデルハウスを見学し、A社の住宅建築の実力や営業エリアが近隣なことに魅力を感じて是非とも話を進めたいとのことでした。
B社長には事情を詳しく説明し、A社事業を存続させる形、すなわちスポンサーとしての協力をしっかり取り付けました。
そして、M&Aは専門家のチーム編成なくしては実現しません。筆者がプロジェクトリーダーとして・弁護士・会計士・金融機関交渉担当等、M&Aの特別チームを編成し、対応することにしました。
A社長の心変わりとプレパッケージ型民事再生の断念
プレパッケージ型民事再生は費用と事前準備期間が必要です。その間の資金繰りを持たせつつも、買い手・スポンサーの意向を汲みながらスケジュールを調整する必要があり高度なテクニックが必要になります。チームは日々変化する資金繰り状況を把握しながら、支出を慎重に判断しながら進めていきます。
ところがA社長が独断で数百万支払ってしまったり、A社長が打ち合わせ時に突如譲渡をやめると言い出したりしたことで、スケジュールが大幅に遅れてしまい、資金繰りが更に悪化してしまいました。打ち合わせたスケジュール通りに進まないことでB社長との信頼関係にも亀裂が入り始めます。
資金不足になったこと、B社にスポンサー協力は頂いているもののA社長への不信感もあり、借入金の引継ぎが困難になったことから、プレパッケージ型民事再生を断念することにしました。
(第5回終/全6回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第1回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第2回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第3回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第4回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第6回)