ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)4/6:事例1:M&Aの実例
「続・こうして私は会社を売却しました」中小企業のM&A実例と成功社長インタビュー
A社の財務状態とM&Aの模索
財務資料の精査とa氏へのヒアリングから、A社の出口パターンが限定されつつあることが判明します。
【A社の財務状態と出口パターンの検証】
1.親族や従業員への承継→不可
●A社長の親族には後継者がいない。
●従業員に承継したくても、借入金が多く、名義の付け替えができない為、承継不可。
2.廃業・法人破産→なんとしても回避したい
●清算は負債が多く不可能。
●破産してしまうと、若く優秀な社員が路頭に迷うことなる。
●下請け業者が30社程度あり、破産をした場合連鎖倒産が考えられる。
●顧客である施主は住宅ローンを活用した個人顧客であり、破産となると顧客へのインパクトは計り知れないダメージになってしまう。
3.M&Aによる第三者への譲渡→負債が多すぎて、このままでは不可
●2億円の債務超過、営業赤字のままでは譲受会社は現れないのは必至。
●数値管理がずさんで社長の個人的支出による簿外債務があり、譲受先の信用を得にくい。
●業歴も長く地元の評判も良いし、従業員の質が高く技術力も高いので譲受希望会社は興味を示すものの、肝心の財務状態が悪すぎて結果的には引き継げない状態。
4.M&A→負債を圧縮し、継承可能な部分を引き継ぐ
●仕掛中工事を買い手・スポンサーが引継ぐことで、顧客に迷惑をかけないで済む。
●技術力や従業員は高い評価があり、譲受企業にとって魅力がある。
●工事原価の管理徹底と経費削減を実施することで大幅な収支改善が見込める。
●M&Aで譲渡をした方が、破産するより債権者への支払が大きくなる。
※年商規模がある程度確保されていることが必要(A社の年商3億円)。
既に存続が危ぶまれる状況で、2億円という多額の債務超過であることからM&Aによる譲渡は難しく、M&A、なかでもプレパッケージ型民事再生の可能性を模索することにしました。
(第4回終/全6回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第1回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第2回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第3回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第5回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第6回)