ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)2/6:事例1:M&Aの実例
●M&Aの実例
【事例1】ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第2回/全6回)
従業員保護とお客様を守るためにM&Aを決意
〜プレパッケージ型民事再生模索も断念、事業譲渡へ〜
A社譲渡理由と危機的な財務状況
A社からの初めてのコンタクトは電話でした。A社のa総務部長からで「建築工事業と造園業の会社で、譲渡を検討している。出来るだけ早く譲渡したいと考えている。」という内容でした。早速現地を訪問し、面談させて頂くことにしました。
面談には、総務部長だけでなくA社長にも同席をしてもらいましたが、a総務部長と違い、A社長は見るからに譲渡は無理だろうといった様子でM&Aに懐疑的で、財務資料を拝見してみると、3,000万円程度の債務超過、3期連続営業赤字状態。確かにこの財務状態ではM&Aはおろか資金繰りも厳しいことは容易に想像できました。そこで、A社長退席後、総務部長のa氏にヒアリングを実施し、事情を詳しく聞くことにしました。
A社は以下のような特徴を持つ建築造園会社です。
●デザイン性の優れた、他社では真似のできない特徴のあるハウスビルダ-。
●従業員15名のうち6名が2級建築士で企画、設計、工事監理、造園、インテリア販売も手掛けている。年齢層の大部分は20代〜30代の若手中堅社員。
●モデルハウスも併設しており、デザイン性の豊かな高級感のある住居を販売している。
●業歴も長く地元では知名度があり、新規顧客は定期的に来ている。
●社長ワンマン体制で個人的な支出が多く、数値管理がずさん。
●総務部長が昨年入社し、社内改革の一環で当社に相談してきた。
総務部長a氏にヒアリングを行ったところ、a氏は会社を何とか立て直してほしいとA社長から頼まれて入社し、まだ半年程度とのことでした。a氏が会社の財務内容を精査したり、社員にヒアリング調査を行ったりした結果、以下のような問題が山積していることが判明します。
●粉飾しており、実態の債務超過は2億円程度、恒常的な営業赤字体質(直近は△3,000万円)。
●中小企業金融円滑化法で借入金返済リスケ中、下請け業者への支払い遅延発生。
●社長の個人的な資金流用がある。
●従業員の意欲が低下している。
(第2回終/全6回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第1回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第3回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第4回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第5回)
中小企業のM&Aの実例1:ハウスビルダー(一般住居建築・造園業)のケース(第6回)