OA機器専門商社3/7:事例6:OA機器専門商社のケース/M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」
事例6:OA機器専門商社〜マナー最終回:一つひとつの対応が、M&A成功・失敗の分岐点となる
企業価値に見合わない譲渡条件を提示
弊社でお預かりした資料やヒアリングをもとに企業価値を算定し、A社にお伝えしたところ、A社のA専務から算定結果より大幅に高い金額で譲渡の交渉をするよう依頼がありました。A専務いわく「売上が落ちているのはここ半年程度であること、将来価値は十分見込めることを考慮し、譲渡金額を決めた。」とのことです。
ところが、当然ながら実際のところ「企業価値」は存在します。それは財務数値や業種、トレンドなど、さまざまな要素から算出されます。このような要素から算出された企業価値から倍近い金額でM&Aが成立することはまずあり得ません。また、売り手の強い要望を受けて、企業価値より大幅に高い譲渡金額で交渉をスタートしたとしても、交渉過程で結局弊社が算定した金額に落とさなければ成約に近づけないだけでなく、買い手から不信感を持たれやすく大きなマイナスになります。
実際、売り手の強い希望で大きい売却金額でスタートしたものが、多くの譲受希望会社に難色されることで結局半額以下になることもあります。また、譲渡に際し、高くないと売りたくない等、いろいろと条件がある場合はM&Aの交渉がかなり難しく、時間がかかってしまいます。
また、よく誤解されるケースで「自分の会社・事業には将来価値がある」から高く売れるだろうとお考えの方がいらっしゃいますが、中小企業のM&Aでは実績数値が企業価値算定の大きな要素となり、将来価値は既に確定している売上分を勘案する程度にとどまります。DCF法などにみられる将来価値があるということで、事業計画等の資料を頂くことがあるのですが、買い手にとっては参考資料にすぎません。
マナー5 客観的な企業価値を理解し過剰な希望を持ちすぎない。 |
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