訪問介護2/4:事例5:訪問介護のケース/M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」
事例5:訪問介護〜人的問題を伏せていた為に基本合意後に破談〜
M&Aアドバイザーから見たM&A失敗の原因
このケースで、基本合意後に急にM&Aの交渉が決裂してしまったのには、大きく2つの原因がありました。
【失敗ポイント1】売り手社長が税理士任せで数値をまったく把握していない
基本合意に向けた交渉の中で、買い手D社長からC社の訪問事業の人件費等財務数値について質問が出ました。ところが、C社長は「数字面はすべて税理士に任せているので税理士に確認する」と言うばかりで、大雑把な数字の把握さえしていない様子です。
そもそも、出来るだけ早く譲渡したいというC社長の希望に沿う形で話が進んでいたので、すぐに回答を得たかったにもかかわらず、C社長からの資料提出に毎回数日かかる状況でした。
D社長は、スピーディーに判断する為にもC社訪問介護事業の素早い現状把握が必須だという自分の状況を、C社長がまったく配慮してくれず、誠意がないと感じるようになりました。そして、数値管理意識を持たないC社長の経営スタイルから、財務資料もずさんなのではないかと不信感を持って資料を見るようにしまったようです。
(第2回終/全4回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例5:訪問介護のケース(第1回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例5:訪問介護のケース(第3回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例5:訪問介護のケース(第4回)