保育園チェーン2/3:事例4:保育園チェーンのケース/M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」
事例4:保育園チェーン〜情報開示の悪さで譲渡失敗〜
M&Aアドバイザーから見たM&A失敗の原因
このケースで、基本合意直前まではM&Aが順調に推移していたにも係わらず、基本合意に至らずに途中で決裂してしまったのには、大きく2つの原因がありました。
【失敗ポイント1】事業ごと、セグメントごとの数値管理がしっかり出来ていない
A氏、B社長両者がすっかり意気投合し、基本合意締結の方向で順調に話が進んでいた中、B社長からいくつか質問が出ました。それは、人材派遣の法的質問や株主構成、財務資料の内容に関する質問、保育園ごとの3期分の財務資料がほしいという要望等です。
もともと、A氏から買い手側に開示していた資料も揃いが悪く、再三弊社からA氏に資料の提出をお願いしていた状況で、B社長からの質問も譲受にあたり当然な質問内容なので、弊社からA氏に伝えたところ、「担当者に確認する」という返事でした。その後、何度か弊社から連絡をしたのですが、「忙しいからまだ資料が出来ていない」という理由で、質問の回答が小出しに返ってくる状態。時間がたつにつれ、B社長から弊社への財務資料の問い合わせは来なくなってしまいました。
B社長はA社の保育園や託児所を気に入っていたものの、資料の開示がされないことでA氏に不信感を持ち、買収の熱意が冷めてしまったようでした。
(第2回終/全3回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例4:保育園チェーンのケース(第1回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例4:保育園チェーンのケース(第3回)