保育園チェーン1/3:事例4:保育園チェーンのケース/M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」
(マナー3.)情報開示はできるだけ早く明確に伝えよ
〜正確で迅速な情報開示により、強固な信頼関係構築を〜
○M&Aで会社・事業を譲渡したいが、うちのような会社でも本当にできるのだろうか?
○M&Aで会社・事業を譲り受け、自社を拡大、もしくは新規事業として獲得したい。
○経営戦略としてM&Aを活用したいが、初めてM&Aを行うのでうまくいくか不安だ。
このように、M&Aを経営に役立てたいと思っていても、自社にとって本当に良い結果を生むのか、成功するのかと様々に疑問をお持ちの方もいらっしゃることと思います。実際、中小企業のM&Aの現場は、大企業同士のM&Aや海外企業のM&Aから抱くイメージとは大きく異なる点が多々あります。
中小企業のM&Aならではの、成功に導くM&Aのマナーについて、実例をもとにご参考にして頂ければと思います。
事例4:保育園チェーン〜情報開示の悪さで譲渡失敗〜
M&Aの背景
譲渡希望会社A社は保育園チェーンをはじめ、様々な事業を多角経営しています。A社のオーナーであるA氏は、複数所有する会社・事業のうち、保育園チェーンの運営会社と人材派遣会社の譲渡を希望。保育園は、企業内託児所や大型ショッピングセンター内の託児所を含め、全国に店舗があります。
両社とも収益は悪くないのですが、A氏によると、従業員がなかなか定着せず絶えず雇用問題を抱えながらの不安定な人材状況の為、売却を決意。出来るだけ早い売却を希望しています。
一方、譲受希望会社B社は同業の保育園チェーンです。事業の拡大を模索していました。
B社長は、A社の保育園の店舗数・立地条件に魅力を感じ、譲受を強く希望。すぐにトップ面談を実施したところ、A氏もB社長の人柄や保育事業に対する考え方に共感。B社長もA社の保育園や託児所等を見学し、しっかりした施設であること、自社直営保育園と近いエリアに立地していることからシナジー効果があると判断します。その後、具体的な条件交渉のため、トップ面談を重ねました。
ところが、その後のトップ面談中で基本合意の条件調整をしていた際、買い手B社から事業の運営上の疑問点や財務内容等についていくつか質問が出たのですが、A氏から一向に資料が提出されず、交渉が停滞。B社長が買収を強く希望していたにも関わらず、結局交渉は決裂してしまいました。
(第1回終/全3回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例4:保育園チェーンのケース(第2回)
M&Aのアドバイザーが知る「現場におけるM&Aマナー」/事例4:保育園チェーンのケース(第3回)