事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:失敗事例/ビルメンテナンス会社破談のケース(第1回/全2回)
事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:失敗事例/ビルメンテナンス会社破談のケース(第1回/全2回)
最近、中小企業の事業承継のニーズが高まっています。事業承継は、親族への承継、従業員への承継、M&Aによる第三者への承継という選択肢がありますが、親族への承継は、オーナー会社の70%近くが後継者がいない為、親族への承継が出来ないという現実があります。また、従業員承継も様々な理由により承継困難な場合が多い半面、M&Aによる第三者への事業承継は譲渡会社、譲受会社の両社に利点が多いため、M&Aによる事業承継を選択する経営者が増えています。
そこで、今回はM&Aによる第三者への事業承継が失敗してしまった例を参考に、成功する事業承継の条件とは何か、中小企業M&Aサポートが実際に仲介を行った実例に基づきご紹介します。
失敗事例/ビルメンテナンス会社破談のケース
第1回:トップ同士の企業文化の隔たりで決裂 〜社長逝去による社長夫人と後継者との人間関係
弊社は全国で数百箇所の会計事務所・弁護士事務所と業務提携しております。D社長との出会いは、やはり弊社提携先の会計事務所からの連絡で、「社長逝去後2年間社長夫人が経営するも業績が悪化しているビルメンテナンス会社の事業承継をお願いしたい」という依頼でした。
D社は老舗のビルメンテナンス会社。社長が存命時代には年商5億円程度でしたが、年々売上が減少する中、社長逝去後、経理を担当していた社長夫人が社長に就任し2年間経営したものの、業績は低下する一方で経営が立ちいかないところまで来ていました。
すぐに弊社買収希望登録企業から候補先をリストアップし、20社程度の候補先から更に確度の高い5社に絞り込みました。中でもビル管理業のE社長が強く譲受を希望していました。E社はD社を買収することで顧客の取り込みに加え、ビルメンテナンス業に進出したいと考えていました。
(第2回に続く)
第2回:事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:M&A失敗事例/ビルメンテナンス会社のケース(第2回/全2回)