実例が物語る中小企業M&Aの教訓(第1回/全2回)

実例が物語る中小企業M&Aの教訓(第1回/全2回)

第1回:会社売却決断、そして両社お引き合わせ・トップ面談

中小企業のM&Aでは、注意しなければならない点があります。弊社が仲介したM&A事例をもとにご紹介します。

売却希望会社A社長との初めてのコンタクトは「とある製造販売会社の譲渡及び売却について可能性をお伺いしたい」というものでした。まずは電話で事情をお聞きしたところ、実家も会社経営をしており実父が高齢で帰郷しなければならず、自身で創業したA社との経営両立は難しいと判断したとのことでした。すぐに現地を訪問し、事業概況のヒアリングや工場の様子、財務資料などを見せて頂いたところ、特に財務数値は問題が多く、親族からの借入金を除けば僅かの資産超過にはなるも債務超過で、収支は大幅赤字で親族からの借入金が増加の一途という状況でした。譲渡の決断が遅い事で譲渡が不可能になってしまっている会社を数多く見かけるので、ご相談だけでも早めにされることをお薦めします。(売り手の注意点:譲渡決断のタイミングは早めに)

しかし、A社には安定した顧客基盤があり、改善の必要がありながらも、製造、物流、配達といった基本的な仕組みが整っていたので、やり方次第では十分に良い譲渡先が見つかると確信しました。

一方、買収希望会社B社は老舗のLPガス販売会社で、LPガス以外に某製品販売事業等を手がけています。某製品事業は、これからB社の柱として伸ばしていきたい思いはありつつも、販売代理店として卸売業務のみ行っていた為に利幅が薄く、何とか製造も手掛けようにも、工場建設に莫大な費用がかかることから、事業を拡大出来ずにいました。

工場を持ち、自社で某製品を製造しているA社はB社の譲受ニーズに合っていると思い、B社と秘密保持契約を締結し、A社譲受のご提案したところ、B社はすぐに興味を示し、早速両社のトップ面談を行いました。面談は終始和やかな雰囲気の中、両社の事業内容等を紹介し、トップ同士の人柄を知る場となりました。(買い手の注意点:買い手は売り手の企業文化を尊重すべし)
(第2回に続く)

→第2回:M&A成約、そして会社売却後の売り手社長

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